ルーの怪談

不思議な少女ルーがいざなう意味怖の世界。怖い話を大量に読みたい方はぜひ。

『糸電話』

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はじめまして、わたしの名前はルー。

10歳の女の子だよ。

今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「......あれ?何だこれ」


ユウキは、道端に1つの紙コップが落ちているのを見つけた。


紙コップの底にはセロテープで糸が貼り付けられている。


「糸電話ってやつかな。今どき?」


興味本位で拾い上げてみる。糸がとても長くて、


道の先まで続いていて、もう片方の端は見えない。


「ん?」


紙コップから、なにやら音が聞こえる。


『たすけて』


ユウキは思わず、「えっ」と声を上げた。


女の子の声で、確かに「たすけて」と聞こえた。


一体何があったんだ?ユウキは気になった。


そうだ!糸電話なんだから、こっちからも聞いてみればいいじゃないか。


ユウキは紙コップに口を当て、


「どうしたの?」と言った。


『たすけて、殺される!』


同じ女の子の声で返事があった。たすけて、殺される。


「何かあったのかな......」


この糸電話の先にいる話し手は、自分に助けを求めている。


ユウキは何となく気になって、糸電話の糸を辿って見ることにした。


すぐに端が見えるだろうと思ったが、歩いても歩いてもなかなか見えない。


糸電話を拾った住宅街を通り過ぎ、横断歩道を越えてもまだ、糸は続いている。


「こんなに長い糸電話見たことないな....いや、そもそも糸電話を見たことがないんだけど」


ユウキは独り言を言った。その時。


『きゃあぁぁぁあああ!!!』


叫び声が聞こえた。自分の紙コップからだ。


「えっ、......もしもし!?大丈夫!?」


ユウキがびっくりして言うと、


『お父さん!!お父さん!!』


『静かにしろ!でないと次は母親を殺すぞ!!』


さっきの女の子の声に加えて、男のヒステリックな怒鳴り声が聞こえる。


会話の内容から考えて、強盗か何かがやって来て一家を拘束し、脅しているようだ。


「大変だ......!」


そんなことが起きていたなんて。


通報しようか....いや、でも場所が分からない。


手がかりはこの、糸電話しか。


「早くいかなきゃ、女の子が危ない!」


ユウキは足を速めた。


糸電話の糸を辿り、走りに走った。


それでもなかなか、端は見えてこない。


するとまた、糸電話から声が聞こえた。


『たすけて......もう嫌だよ』


女の子の声。明らかに泣いている。


ユウキはとっさに言った。


「大丈夫だよ、僕が必ずきみを助けるから!」


その言葉を聞いて、女の子は安心したのか、しだいに泣き止んだようだった。


「急がなきゃ」


ユウキは走った。


徒歩では限界があったので、途中で空き地に置いてあった自転車と野球のバットを「ごめんなさい!すぐ返します!」と手を合わせて拝借し、


全力で糸の先を追いかけた。


この子を助けられるのは、僕しかいない。


その使命感にも似た思いが、ユウキを駆り立てた。


そして、ついに一軒の家に辿り着いた。


「ハァ、ハァ......ここか......」


ユウキは家を見上げた。糸電話の糸は、この家の扉の中に入っていっている。


「.........待ってろ、今行く!」


空き地で拾ったバットを握りしめ、ユウキは突撃する覚悟を決める。


次の瞬間、獣のような叫び声が聞こえた。


そのあまりの壮絶さにユウキは固まった。今の声って、


糸電話から聞こえた、強盗の男の声じゃないか......?


『あなたが悪いのよ......お父さんとお母さんを殺すから』


糸電話から声が聞こえる。あの女の子の声。


何をしているのか分からないが、ザブッザブッという鈍い音と大量の水が吹き出るような音も聞こえる。


『結局、助けに来てくれなかったね』


ユウキは一歩も動けなかった。今、この糸電話の向こうで起きていることを、


想像したくなかった。


『今そっちに行くから』


ユウキは叫び声を上げて、強盗を撃退するために持ってきたバットを振りかざした。


相手は自分を殺そうとしてる!


だったらこっちもこうするしかないんだ!!


振り下ろしたバットが扉を破る。部屋には誰もいなかった。


紙コップから『ドラマの後はニュースをお送りします』と聞こえるのと、


つけっぱなしのテレビの前に置かれたもう1つの紙コップをユウキが見つけるのは、同時だった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


......意味は分かったかな?


ユウキが糸電話を通じて聞いていた声は全部、TVから流れてくる音声だったの。


わざわざこんなに長い糸電話を作るくらいだから、これはこの家の人の、故意のイタズラかな?


とんだ取り越し苦労だったけど、本当に事件が起きていた訳じゃなくてよかったね。


あなたも、電話の相手には気をつけて。


好奇心でよく知らないのに姿を見ようとしたら、ユウキみたいに怖い目に遭っちゃうかも。


※このお話を無断で転用したら、
あなたもわたしの怖いお話の登場人物にしてあげる。

『殺人鬼のファン』

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はじめまして、わたしの名前はルー。

10歳の女の子だよ。

今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ジョゼフの住む街では、殺人事件が多発していた。


犯人は毎回、死体の横に綺麗な花束を添えて、まるで作品のように見立てていた。


「こんなことするのは相当、頭のおかしな奴に違いないな......」


そう言いながらジョゼフは、仕事が長引き暗くなった帰路を不安な気持ちで歩いていた。


すると、ふと自分の背後から聞こえる足音に気づいた。


チラリと見ると、コートを着た女だ。


右手には、綺麗な花束を持っている。


「まさか......」


ジョゼフは恐ろしくなった。しかし。


「あ、ごめんなさい」


コートの女性はジョゼフに会釈をした。


「私も暗い所を1人で歩くのが怖くて。


同じ帰り道に人がいたから、何となく安心して距離をつめてしまったの」


「あぁ......そうだったのか」


ジョゼフは安堵した。どうやら自分も彼女も、恐ろしい事件のせいで臆病になっているみたいだった。


「もし良かったら、途中まで一緒に歩きませんか?」


ジョゼフは親切に女性に言った。自分も、出来れば誰かと一緒に歩きたいとも思っていた。


女性は「ありがとう」と言ってジョゼフの横に並んだ。


「近所でこんなに殺人事件が多発することなんてないですから、怖いですよね。」


ジョゼフが笑って言うと、コートの女性は意外なことを言った。


「いえ、私は例の連続殺人の犯人が怖いわけではないんです。


ただ、夜道が怖いだけで」


「えっ、そうなんですか?」


「はい。むしろ、あの子のことは大好きで、尊敬しているの。


私は、あの子のファンなのよ」


ジョゼフは空恐ろしくなった。


彼女は例の殺人犯のことを「あの子」と言った。


明らかに、近しい人物ーー親友や家族について語るような言い方だった。


自分はまさか今、とんでもない人物と会話をしているんじゃ.........


「......でもさ、言うまでもないことだけど、人殺しは悪いことだ。


君からその人に、やめるよう言ってあげることは出来ないのかい?」


「他の人の理解なんて、必要ないのよ」


コートの女は冷酷な瞳で、忍ばせていた肉切り包丁をジョゼフの頸動脈に当てた。


「ヒィッ」


「だって、私は私のことが大好きだもの」


女はジョゼフの死体の横に、綺麗な花束を添えた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


......意味は分かったかな?


コートの女は最初から、殺人犯について話してるというより、


「自分について」話していたんだね。


目の前にいるのは殺人犯本人だって、


ジョゼフがもっと早く気づけていたらなぁ。


※このお話を無断で転用したら、
あなたもわたしの怖いお話の登場人物にしてあげる。

『猫の国』

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はじめまして、わたしの名前はルー。

10歳の女の子だよ。

今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


エリックが目を覚ますと、猫の姿になってしまっていた。


しかも周りを見ると、なぜか生き物が猫しかいない。


「ここは猫の国さ。


ゆっくりして行くといい。のんびりしていれば自然に元の世界に帰れるから」


通りすがりの猫に事情を聞くと、そういうことだった。


ずいぶん呑気なものだと思ったが、日ごろ仕事に忙殺されているサラリーマンだったエリックは、


言われた通りのんびりと、猫の国で過ごすことにした。


そんなこんなで、エリックは5年も猫の国にいたが、


ある日気がつくと、元の世界で人間に戻っていた。


そこでは何もかもが変わっていた。


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......意味は分かったかな?


猫は人間の5~6倍の速さで年をとる。つまり、


エリックが猫として過ごした5年の間に、


元の世界では25~30年の月日が流れていたの。


知らない間にずいぶん「のんびり」してしまったみたいだね。


※このお話を無断で転用したら、
あなたもわたしの怖いお話の登場人物にしてあげる。

『雪の結晶』

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はじめまして、わたしの名前はルー。

10歳の女の子だよ。

今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ハルとアキは仲良しのいとこで、いつも一緒に遊んでいた。


「アキってば、家でずっとハルくんの話ばかりしてるのよ」


アキのお母さんからそう聞いて、ハルは嬉しかった。


ある冬の日、アキの家に遊びにいくと、


窓に雪の結晶がついているのを見つけた。


ハルは以前にも雪の結晶を見たことがあったが、


アキの部屋の窓についていたのは、以前見たのとは全然違った。


それ以来、ハルはアキと疎遠になった。


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......意味は分かったかな?


雪の結晶はきれいな言葉をかけるときれいな形に、


汚い言葉をかけると汚い形になるんだって。


ハルはアキの部屋の窓に、以前見たものと違う、汚い形の雪の結晶がついているのを見つけてしまった。


「アキは家ではずっとハルの話ばかりしている」


って、アキのお母さんが言っていたとおり、


アキは家では、ハルの話ばかりしていた。


「汚い言葉」を使うような悪口をね。


ハルはアキの悪意に気づいてしまい、2人は疎遠になってしまいましたとさ。


※このお話を無断で転用したら、
あなたもわたしの怖いお話の登場人物にしてあげる。

『ガチャ』

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はじめまして、わたしの名前はルー。

10歳の女の子だよ。

今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


タケルはスマホゲームが大好きだ。


とくに、ガチャを回すのはいつもワクワクする。まあ、たいていレアキャラが来るまで課金するのだが。


ところが今日はものすごく運がいい。


なんと7回も連続でレアキャラが出た!


課金せずにこんなにキャラが手に入るなんて、本当についてる。


その時、近くで雷の鳴る音がした。


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......意味は分かったかな?


スマホゲームのガチャで最高レアが出る確率は、高くて3%。


それが7連続ということは約0.000000000002187
%の確率で、これは人が雷に打たれる確率(0.00000004%)よりもずっと低いんだよね。


より確率の低いことが今この瞬間起こったなら、


より確率の高いこともーー雷に打たれることもーー起こるかもしれないね。


※このお話を無断で転用したら、
あなたもわたしの怖いお話の登場人物にしてあげる。

『広告』

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はじめまして、わたしの名前はルー。

10歳の女の子だよ。

今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


クレイグはふと、リビングのソファで携帯をいじっている息子のコリーを見た。


携帯の画面には、内臓の飛び出た血まみれの人間が写っていた。


「何てものを見てるんだ!」と、慌てて携帯を取り上げるクレイグ。


「よく見て、パパ。ただの広告だよ」


コリーはびっくりして言った。クレイグが画面をよく見ると、


コリーが見ていたのは、ただの映画のレビューだった。


その途中に、恐怖映画のバナー広告が挟まっていたのだった。


「何だ、よかった。ごめんなコリー」


クレイグは安心し、息子に携帯を返した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


......意味は分かったかな?


携帯に表示される広告っていうのは、多くの場合、


ユーザーが過去に検索したりして、「それに関心がある」と見なされたものだって知ってた?


コリーが、「(他の家族がいる)リビングのソファで」見ていたのは、


ただの映画のレビューだったかもしれないけれど、


1人の時には、ずいぶん怖いサイトを見ているみたいだね。


※このお話を無断で転用したら、
あなたもわたしの怖いお話の登場人物にしてあげる。

『良き妻』

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はじめまして、わたしの名前はルー。


今日は、わたしの知っている『意味が分かると怖いお話』を教えてあげるね。


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仙三郎の妻、お道は非常に良き妻だ。


家のことと子育てを1人でよくこなし、決して仙三郎に口答えしたりしない。


いつも仙三郎より一歩下がって、かいがいしく仕えている。


「女人は嫁(か)しては夫に従い、老いては子に従えと言いますもの。


私は当然の事をしているだけなのです」


そう言ってお道は、着物の裾で口を覆い、控えめに笑った。


仙三郎は非常に満足だった。けれどある日、


お道の友人の梨央に「見ていられない」と言われ、2人は別れさせられてしまった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


......意味は分かったかな?


仙三郎」と「お道」が昔の日本の名前みたいだから、


みんなはこのお話を、昔のお話だと思ったんじゃないかな?


だけど最後に出てきた、「梨央」は現代的な女の子の名前だよね。


つまりこれは現代のお話。


それにしては、仙三郎のお道の扱いはひどいものだよね。


家事や育児を全然手伝わない、夫に何一つ口答えをさせないなんていうのは、


今の日本ではほとんどあり得ないんじゃないかな。


梨央が「見ていられなく」なるのも、無理ないね。


※このお話を無断で転用したら、
あなたもわたしの怖いお話の登場人物にしてあげる。